2026/09/08 13:23
アメリカでカービィになった。 正確には、アメリカ買付3日目の夜、自分がカービィーになる夢を見た。 普段、私はあまり夢を見ない。 その日はアメリカという国に生活リズムを壊され、夜23時30分にレッドブルを飲んだ。 そのまま無理やり眠ったせいか、妙に浅い夢を見た。 あ、皆様、 レッドブルを飲んで強制スリープすれば夢を見れます。たぶん。 
夢の自分はビーチのバスケットコートにいた。
玉石混交、個性豊かなアメリカ人 20人ほど集まり、毎日のようにバスケをしていた。
ちなみに現実の私はバスケ未経験である。
とにかくバイブスアゲアゲな連中だった。
ライオンの群れがじゃれ合うように、肩をぶつけたり、小突いたり、軽く組み合ったりする。
それが彼らなりのコミュニケーションらしい。
日本にいる私は、小競り合いを避けるために生きているような人間だ。物理的にぶつかり合うコミュニケーションなんて全部喧嘩だと思っている。
なのに夢の中の私は、
「小競り合いはコミュニケーションや」
くらいの顔をして、その輪に馴染んでいた。
なんだ。
アメリカ人できてんじゃん。俺。

(じゃれあいは、じゃれ"愛"なんだと教えてくれるライオンの群れ)
ある日、新入りが来た。
ひときわデカい、UMAのようなアメリカ人だった。
軽いじゃれ合いの延長で彼がヒートアップし、気づけば百花繚乱の大乱闘騒ぎになった。
翌日、またソイツが現れた。
昨日のリベンジらしい。
しかも今日はタイマン。
なぜか私が指名された。
驚くことに、血の気たっぷりのアメリカボーイと化していた私は、ノリノリで応じていた。
日本の私なら、昨日揉めた男が今日も来た時点で帰るだろう。
夢の私、男気あるな。
好きだぞ。
(「映画:グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の乱闘シーン)
戦いは私が優勢だった。
激闘の末、最後は背負い投げみたいな技で相手を投げた。
ちなみに現実では、武道の一つも知らない。
「決め技は日本かよ」
そう思ったのと同時に、少し安心した。
ずいぶんアメリカに染まった夢だったが、最後の最後に身体から出てきたのは日本だった。
自分は思ったより、日本を誇っているのかもしれない。
ただ、相手はまだ終わる気がなかった。
なんかこいつ、ガチすぎる。
アメリカ無双していた私でも、さすがに怖気づいた。
逃げた。
走って逃げた。
すると、なんと、銃を持って追いかけてきた。
拳から銃。
急にアメリカ映画のジャンルが変わった。
さっきまで『青春・異文化交流』だったのに、いきなり『犯罪スリラー』である。

(気持ちは完全に『ノーカントリー』)
私は車へ逃げた。
男が銃を持って迫ってくる。
そこで目が覚めた。
起きて最初に思った。
アメリカすぎる夢だな。
でも、妙に嬉しかった。
夢の中の私は、普段の私よりずっと勇敢で、直情的で、野生味があった。
小競り合いをコミュニケーションとして受け入れ、知らない大男との勝負にも乗る。
日本にいる自分なら、たぶん全部やらない。
まるで、自分の中にいた正反対の人格が、アメリカという土地でだけ顔を出したようだった。

(映画『ファイトクラブ』がよぎるような..)
面白い。
もしかすると、海外へ行く面白さは、その国の景色や食べ物を知ることだけじゃないのかもしれない。
その土地の考え方まで、少しだけ借りて帰ることができる。
スマブラのカービィみたいに。
自分は自分のまま。
でも、相手の能力をひとつだけコピーする。
夢の中の私は、アメリカ人の直情径行でパワフルなコミュニケーションをコピーしていた。
それでも最後に出てきた技は、背負い投げだった。
ずいぶんアメリカ人になっていたけれど、ちゃんと自分も残っていた。

普段は空気を読む。
衝突は避ける。
それでも、ここぞという時には前に出る。
必要な時だけ、あのアメリカの自分を呼び出せたら、少し強く生きられる気がした。
旅をして、その国の空気を吸って、飯を食って、人と話す。
そうして知らないうちに、自分の中に新しい能力をひとつ増やして帰る。
それも旅の醍醐味なのかもしれない。
困ったら、自分の中のカービィを呼ぼう。